債権回収に関するお悩みはお気軽にご相談ください

tell-iconお電話での
ご相談予約はこちら

mail-iconメールでの
お問い合わせはこちら

債権回収のポイント

「資産の把握」と「優先順位を高めること」

「資産の把握」と「優先順位を高めること」

国内大手債権回収会社へ出向し、その後現在まで約10年間、同債権回収会社の顧問を務めるなど、弁護士人生を通じて常に債権回収の第一線で活動してまいりました。
そのような弁護士経験の中で日常多く寄せられる債権回収の疑問について分かりやすくお答えしていきたいと思います。

債権回収の要点は、誤解をおそれずに言えば、次の2点に集約されます。

(1)回収可能な資産をできるだけ多く把握すること
(2)債務者の中で貴社(あなた)の優先順位を高めること

なお、この2点は密接に関連し、または共通していることがあります。

(1)回収可能な資産をできるだけ多く把握すること

債権回収の対象となる資産をできるだけ多く把握することができれば、債務者の返済意思にかかわらず、その資産に対して法的手続を行うことで満足のいく回収を得ることができます。
(債権回収に力点を置いた一般的な法的手続の流れ)

  仮差押 ⇒ 訴訟 ⇒ 強制執行

もっとも、一般的には、他人が保有している資産を把握することは容易ではありませんし、理由もなく支払を拒んでいる債務者については特に意図的に資産を隠していることが少なくありません。
また、すでに資産を第三者に移転するなどし、執行したい資産は見えているのに、ただちには当該資産から回収を図ることが困難な場合もあります。

① 資産を把握する手段

この点、弁護士は、弁護士法第23条の2という根拠条文に基づき、所属弁護士会を通じ、特別に官公庁その他の団体に対して照会を行い、資産を含む調査を行う権限を持っています。
また、改正民事執行法は、債務者の不動産、給与および預貯金等の有無等についてそれぞれこれを管理・把握する機関に情報提供させる方法を定め、また、債務者本人から財産開示の陳述を得る手続を強化する定めを置いています。

別ページではこれらを含み、一般的な資産把握のための手続をご紹介したいと思います。

② 債務者が積極的に資産を第三者に移転している場合

第三者に資産が移転されてしまっている場合、これを債務者の資産として把握するためには、一旦、移転された資産を債務者の資産に復帰させる必要があります。法律は、そのための手続として詐害行為取消訴訟を用意しています。
近年、法人の資産隠しの例として散見される、債務者の会社が事業の重要な一部を別会社に譲渡している場合(いわゆる「第二会社方式」)も、この詐害行為取消訴訟を検討することが有効です。

なお、関連して、資産の移転を受けた第三者に対して直接請求する方法として、詐害行為取消訴訟を提起し、移転した資産に相当する価額を当該第三者に返還するよう求める場合(いわゆる「価額賠償」)や、当該第三者に対し、商号続用者の責任を追及したり、法人格否認の法理を利用したりする方法があります。

一方、直接的な資産把握の方法や請求方法ではないものの有効な法的手続としては、詐害的な資産譲渡を行った者に対し、強制執行妨害目的財産損壊等の罪(刑法第96条の2)に基づく刑事告発を積極的に利用したり、詐欺的な資産譲渡を行った上で破産した者について詐欺破産罪(破産法265条)の積極的な適用を求めるなどし、結果として任意の返済を得る方法も考えられます。

これらも含め、別ページにおいて詳細に説明します。

(2)債務者の中で貴社(あなた)の優先順位を高めること

前(1)のように法的手続を通じた回収は、そのために一定の時間と費用を要します。また、そもそも対象となる資産が把握できないと回収にはつながりません。
これに対し、債務者が自分で支払をするよう働きかけることができれば、法的回収手続にかかる諸負担を軽減できますし、資産がなくても回収につながることがあります。

もっとも、支払をしない債務者には、他に優先したい返済があったり、事業資金(生活資金)をより多く残しておきたかったり、さまざまな思惑や事情があります。
そういった思惑や事情を乗り越えて支払を行うよう促すためには、債務者の中で貴社(あなた)に対する支払の優先順位を高める必要があります。

債務者の抱えている事情や思惑は、債務者の属性や債務者の置かれた状況によって千差万別である以上、優先順位を高めるための方法もまた千差万別です。
ただし、一般に債務者が避けたいと考えている法的手続があり、また特定の属性の債務者にとって特に避けたいと考えている法的手続があることもまた事実です。

たとえば、一般に、債務者は、保証人への請求や債務者の保有している担保やその他の資産に対する執行を極力避けたいと考えています。一方、属性ごとに見ると、会社にとっては、メインバンクの預金債権、メインバンクが担保を設定している不動産、または主要な取引先に対する売掛金債権に対して仮差押が行われることは何としても避けたいと考えています。
詐害行為を行った債務者にとっては、詐害行為の受益者(詐害行為によって資産を譲り受けた者など)に対して法的手続をとられることを避けたいと考えている傾向が強いです。また、特殊な事例ですが、詐欺が疑われる事例では刑事告訴が行われることを最も警戒している傾向が強いです。

このような手続を事案に応じて取捨選択し、適正に優先順位を高めることに成功すれば、自ずと債務者による支払が実行され、満足のいく回収が実現されることになります。

これらも含め、別ページにおいて詳細に説明します。

(3)「資産の把握」と「優先順位を高めること」の関連性

上では、(1)の方法と(2)の方法が全く異なるもののように書きましたが、実際上、多くの場合、両者は相互に関連し、または共通しています。

たとえば、優先順位を高めた上で返済条件を交渉したところ、債務者から任意に保有資産が開示され、これに対して担保権が設定される場合があります。優先順位を高めたことが執行対象資産の把握の手段となった典型例です。
一方、知れている資産に対して仮差押を行ったり、これをあえて予告するなどすることで優先順位を高め、任意の返済につながる場合もあります。

このように、法的手続を通じて回収することと、債務者の中で優先順位を高めることは、相互に関連し、または共通していることが多く、そのことを理解した上で適切に手続や交渉手段を選択することが、効果的な債権回収において非常に重要となります。

皆さまの確実な債権回収を
サポートします